猫の記念日の由来と過ごし方 誰が何のために作った日か

猫の記念日は、一年で20以上あります。日付だけを並べた一覧は猫の記念日カレンダーにまとめました。このページでは、それぞれの記念日が誰によって、何のために作られたのかを解説します。由来を知ると、その日に何をすればいいのかも見えてきます。

日本の猫の記念日

2月22日 猫の日

日本でもっとも知られた猫の記念日です。1987年(昭和62年)、愛猫家の学者・文化人で構成された「猫の日実行委員会」が、ペットフード工業会(現在の一般社団法人ペットフード協会)と協力して制定しました。委員会の発足には英文学者の柳瀬尚紀氏らが関わっています。

日付は全国の愛猫家からの公募で決まりました。約9000通の応募が寄せられ、猫の鳴き声「ニャン・ニャン・ニャン」と読める「2」が3つ並ぶ2月22日が選ばれています。

制定の趣旨は「猫と一緒に暮らせる幸せに感謝し、猫とともにその喜びをかみしめる日」とされています。国内の猫関連イベント、猫をテーマにした展示、企業のキャンペーンはこの日に集中します。猫の日をきっかけに保護猫の譲渡会が開かれることも多く、参加のハードルが下がる時期です。

3月22日 さくらねこの日

公益財団法人どうぶつ基金が制定した記念日です。同基金は、飼い主のいない猫に不妊手術を行い、元の場所へ戻すTNR活動(Trap/Neuter/Return)を全国で支援しています。

「さくらねこ」とは、不妊手術済みの印として耳の先を桜の花びらのようにV字にカットされた猫のことです。この印があることで、同じ猫が二度捕獲されて手術を受けることを防げます。耳のカットは麻酔下で行われ、外から見て分かる唯一の目印になります。

街で耳先の欠けた猫を見かけたら、それは誰かが手術と管理を引き受けている猫だという意味です。この日は、その仕組みを知ってもらうために設けられています。

3月22日 キジトラ猫の日

通販会社フェリシモの社内プロジェクト「フェリシモ猫部」が制定しました。日付は、キジトラの名前の由来であるキジが1947年3月22日に日本の国鳥として選定されたことにちなみます。

キジトラは日本の猫でもっとも多い毛柄で、リビアヤマネコに近い野生本来の柄です。茶色の地に黒い縞が入り、屋外では保護色として機能します。「地味」と言われがちですが、日本の猫の原型に最も近い柄でもあります。

5月25日 ホゴネコの日

岐阜市に本部を置く株式会社ネコリパブリックが制定し、2019年に一般社団法人日本記念日協会が認定・登録しました。日付は5月25日を「0525」として「ホ(0)ゴ(5)ネ(2)コ(5)」と読む語呂合わせです。

ネコリパブリックは保護猫カフェの運営を通じて、猫の殺処分をゼロにすることを目標に掲げている企業です。この日にあわせて、保護猫の譲渡を目的としたイベントが各地で開かれます。

9月29日 招き猫の日

1995年、招き猫の愛好家団体である日本招猫倶楽部が制定しました。日付は「来(9)る福(29)」の語呂合わせで、招き猫が福を招く縁起物であることにちなみます。

招き猫は右手を挙げたものが金運、左手を挙げたものが人(客)を招くとされ、商売繁盛の願いを込めて店先に置かれてきました。愛知県瀬戸市の「来る福招き猫まつり」など、この日の前後に招き猫をテーマにした催しが開かれます。

猫そのものではなく、猫を模した縁起物の記念日という点で、ほかの猫の記念日とは性格が違います。日本で猫が長く「福を呼ぶもの」として扱われてきたことを示す記念日です。

10月22日 キャットリボンの日

一般社団法人日本獣医がん臨床研究グループ(JVCOG)が制定しました。人の乳がん啓発である「ピンクリボン月間」が10月であることと、猫の鳴き声「ニャン(2)ニャン(2)」を組み合わせた日付です。

猫の乳腺にできるしこりは、およそ8割が悪性とされています。発症するのはほぼメスで、10歳から12歳ごろにリスクが高まります。人の乳がんと違って自覚症状の訴えがないため、飼い主が体をさわって気づくかどうかが早期発見の分かれ目になります。

この日を「体をさわって確認する日」と決めておくと習慣化しやすくなります。前脚の付け根からお腹、後ろ脚の内側にかけて、左右に並ぶ乳腺のラインを指先で軽くなでるように確認します。小豆ほどのしこりでも動物病院で相談してください。

11月22日 ペットたちに「感謝」する日

2006年11月、ピーツーアンドアソシエイツ株式会社が「THANKS PETS DAY」として制定し、日本記念日協会に登録されました。日付は犬の鳴き声「ワンワン」を11、猫の鳴き声「ニャーニャー」を22に見立てた語呂合わせです。

猫だけでなくペット全般を対象とした記念日で、「生活を共にし、喜びや生きがいを与えてくれるペットに感謝し、人と動物の正しい関係を考える日にしたい」という趣旨で作られています。

12月12日 世界りんご猫デー

ネコリパブリックが制定した記念日です。「りんご猫」は、猫免疫不全ウイルス(FIV、いわゆる猫エイズ)のキャリア猫を指す造語です。病気の名前が持つ強いイメージが譲渡の妨げになるため、呼び方を変えることで先入観をなくす狙いがあります。

FIVキャリアであっても、ストレスの少ない室内環境で単独または相性のよい猫と暮らせば、発症せずに寿命まで過ごす個体は少なくありません。感染経路は主に激しいけんかによる噛み傷で、食器の共有や毛づくろいでの感染リスクは低いとされています。

この日は、キャリア猫を受け入れる選択肢があることを知ってもらうために設けられています。

世界の猫の記念日

8月8日 世界猫の日(International Cat Day)

2002年、国際動物福祉基金(IFAW/International Fund for Animal Welfare)が制定した、世界共通の猫の日です。世界最大級の動物福祉団体による記念日で、猫の福祉向上と適正な飼育の啓発を目的としています。

日本の2月22日が「猫と暮らす喜び」を祝う日だとすれば、8月8日は「猫を守る責任」に目を向ける日です。保護、不妊手術、室内飼育、終生飼養といったテーマがこの日の中心になります。

2月17日 猫の日(イタリアなどヨーロッパ)

1990年、イタリアの猫の専門誌が読者投票を行って決めた日です。2月が猫と結びつけて語られてきた月であること、黒猫にまつわる迷信を解きたいという意図が背景にあったとされます。イタリアのほか、ポーランドなど周辺国でも同じ日を猫の日としている例があります。

3月1日 猫の日(ロシア)

ロシアでは3月1日が猫の日です。モスクワの猫博物館が2004年に制定したとされ、長い冬が明けて猫が日なたに出てくる季節と重なります。ロシアでは猫が家を守る存在として親しまれており、新居に最初に入れるのは猫という習慣も伝えられています。

4月4日 猫の日(台湾)

台湾では4月4日が猫の日とされています。愛猫家の団体が投票で決めたもので、子どもの日(児童節)と同じ日にあたります。台湾は猫村(新北市の侯硐)や猫カフェ文化で知られ、猫に関する観光資源が多い地域です。

8月17日 黒猫感謝の日(Black Cat Appreciation Day)

アメリカで広まった記念日で、黒猫にまつわる迷信や偏見をなくし、その魅力を見直すことを目的としています。黒猫を家族に迎えていた身内をしのんで制定されたと伝えられています。

欧米では黒猫が「不運を招く」とされてきた歴史があり、保護施設でも黒猫の譲渡が決まりにくい傾向が長く指摘されてきました。写真に映りにくく紹介ページで目立たないという実務的な問題も重なります。この日は、そうした不利を埋めるための啓発日です。

9月1日 茶トラ猫感謝の日(Ginger Cat Appreciation Day)

2014年、ソフトウェア開発者のクリス・ロイ氏が、亡くなった愛猫をしのんで制定したとされています。茶トラは遺伝的にオスの割合が高い毛柄で、人なつこい性格の個体が多いという評判があります。

10月16日 グローバルキャットデー(Global Cat Day)

アメリカの猫保護団体アリーキャット・アライズ(Alley Cat Allies)が主導する日です。同団体は屋外で暮らす猫の保護を専門としており、この日を「全米野良猫の日(National Feral Cat Day)」としても位置づけ、TNRの普及や不妊手術の集中実施を呼びかけています。

殺処分ではなく不妊手術によって数を管理するという考え方を広めた活動で、日本のさくらねこ活動と同じ流れにあります。

10月27日 黒猫の日(National Black Cat Day/イギリス)

2011年、イギリスの動物福祉団体キャッツ・プロテクション(Cats Protection)が制定しました。同団体の保護施設で、黒猫と黒白猫の譲渡が他の毛柄より決まりにくいという実態があり、その解消のために設けられた日です。

10月29日 全米猫の日(National Cat Day)

2005年、動物福祉の提唱者コリーン・ペイジ氏が制定しました。シェルターで新しい家族を待つ猫の存在を知らせ、譲渡を促すことが目的です。同氏は7月10日の子猫の日(National Kitten Day)も制定しています。

11月17日 黒猫の日(イタリア)

イタリアには、10月とは別に11月17日の黒猫の日があります。迷信を理由に黒猫が傷つけられてきた事実に抗議し、保護を訴える日として動物保護団体が呼びかけたものです。イタリアでは17が不吉な数とされており、その日をあえて選んだ形になっています。

そのほか、英語圏で親しまれている日

制定の由来は必ずしも明確ではありませんが、英語圏のカレンダーに定着している猫の日もあります。

日付 記念日 内容
1月2日 Happy Mew Year for Cats Day 人間の元日の翌日を、猫の新年として祝う
1月22日 Answer Your Cat’s Questions Day 猫が問いかけているように見える仕草に、真面目に答えてみる日
4月6日 Siamese Cat Day シャム猫をたたえる日。「シャ(4)ム(6)」の語呂合わせとされる
6月4日 Hug Your Cat Day 愛猫を抱きしめる日。抱かれるのが苦手な猫には無理をさせない
7月10日 National Kitten Day 子猫の保護と里親について考える日

1月2日と1月22日は、ユニークな記念日を数多く提唱してきたウェルキャット・ホリデーズ(Wellcat Holidays)によるものです。

なぜ猫の記念日はこんなに多いのか

数が増えた理由は、大きく3つに整理できます。

1. 語呂合わせが作りやすい

猫の鳴き声「ニャン」が数字の2に当てられるため、2が並ぶ日は候補になります。2月22日、10月22日、11月22日はいずれもこの発想です。日本の記念日文化は語呂合わせと結びついているため、猫は特に記念日を作りやすい動物といえます。

2. 啓発の手段として使われている

保護活動や病気の啓発には、注目が集まる日が必要です。さくらねこの日、ホゴネコの日、キャットリボンの日、世界りんご猫デー、グローバルキャットデーはいずれも、伝えたいメッセージに人を集めるために作られています。祝う日ではなく、行動を呼びかける日です。

3. 毛柄ごとの記念日という発想が広がった

キジトラ、茶トラ、黒猫、シャム、サビ猫のように、毛柄や品種ごとの記念日が増えています。その多くは、譲渡が決まりにくい毛柄への注目を集める目的を持っています。黒猫の記念日が英国・イタリア・アメリカにそれぞれ存在するのは、それだけ黒猫が不利な扱いを受けてきたということでもあります。

記念日を実際にどう過ごすか

「猫を大事にする日」だけでは行動に落ちにくいので、内容の決まっている過ごし方を挙げます。

日付 やること
2月22日 体重を量って記録する。前年の同じ日と比べる。写真を撮る
3月22日 近所で見かける猫の耳先を確認する。地域の管理状況を知る
5月25日 保護猫の譲渡会やイベントの開催情報を調べる
8月8日 脱走対策と室内環境を点検する。マイクロチップの登録情報を確認する
10月16日 TNRの仕組みを調べる。地域猫活動の支援方法を確認する
10月22日 お腹をさわって乳腺のしこりを確認する。健康診断の予約を取る
12月12日 FIVキャリア猫についての情報を読む

年に一度でも記録が残っていれば、体調の変化に気づく手がかりになります。記念日はそのための口実として使うのが実用的です。

日付だけを一覧で確認したい場合は猫の記念日カレンダーをご覧ください。

制定者・制定年は、制定団体の公表内容および複数の資料で一致が確認できたものを記載しています。海外の記念日には由来が明確でないものがあるため、その場合は「とされる」「伝えられる」と表記しています。健康に関する記述は一般的な情報です。しこりや体調の変化に気づいた場合は、記念日を待たずに動物病院にご相談ください。